【大分 虎屋】豆腐の流通その2 by三代目とら吉

豆腐の製造小売り

豆腐をつくって、自分のお店で販売する形態ですね。

小さな豆腐屋さんの、ある種の理想形でしょう。

自分のこだわりの商品を、自らの決めた値段で販売する。

それを求めてお客さんが買いにくる。

この循環こそが商売の原点であったはずですが

さすがに田舎で、この方法一本では厳しい状況です。

豆腐屋だけでなく

今や商店街とは名ばかりの「閉店シャッター通り」

魚屋、八百屋、肉屋…なんて専門店はありません。

まだまだ、残ってる商店街などあるんでしょうか?

昔は週末は、商店街で夜市などがあって

にぎやかな歩行者天国、色とりどりの屋台や出店と

真っ赤な顔のお父さんに、はしゃぎまわる子供ら

ニコニコ笑顔のおじいちゃんと孫…

結構、楽しかったですよね。

小学校の頃は土曜日が楽しみでした。

話がいつも反れますが

豆腐屋さんで「製造小売り」のみで

営業しようとすれば

そこでしか手に入らない商品があったり

飲食と併用したり…

何らかの工夫が必要だと思います。

「製造小売り」だけの営業ってあるんでしょうか?

逆に、昔は「製造小売り」でやっていけたことに

今では驚きを感じますね。

あなたの町には八百屋さんはありますか?

魚屋、肉屋…豆腐屋は…

大切にしたい専門店ですよね。

製造卸…

結局は、ほとんどの豆腐屋さんは製造卸の形態。

つまり、製造した商品をスーパーマーケットや量販店に

販売を委託するかたちですね。

最近では道の駅や産直などができて、豆腐屋さんも

助かっている部分もあると思います。

「なぜ、助かっているか」を説明しますね。

まず豆腐屋さんのほとんどはスーパーマーケットや

ディスカウントストア、デパートに卸すことになります。

私の町にデパートなどはないですから

選択肢は産直かスーパーになります。

産直や道の駅に関しては、最近の販売先ですね。

こちらの卸しに関しては自分で値段設定ができます。

だから「助かっている」のです。

それでは、20年前…

産直も道の駅もなかった時代の話をしましょう。

私の町は小さいながらも7つほどのスーパーマーケットがあり

毎日毎日、新聞にどこかの広告が入っていました。

そして、かならず入っているのが豆腐の安売りです。

まったくうれしくない宣伝でした。

「本日、3丁100円」

「本日限定、35円」

今では普通に、毎日30円の豆腐が売られていますが

この頃の地元の豆腐屋さんは「手づくり」でしたから

つくれば、つくるほど赤字だったと思います。

例外なく私どもも、叩かれまくり

常時49円売り…卸しは38円ほどですが

なぜか直接は取引ができず「ブローカー」が間に入ります。

さらに、「ブローカー」への手数料と年間のリベート…

まさに、「ただ働き」です。

人件費は間違いなく出ません。

そこまでして、どうして取引していたのか。

単純に月末の「お金」が必要だったからです。

私も若くて、何もわからなかったので

とにかく一生懸命働きました。

けれど、決定的に「このままじゃ潰れる」と感じた出来事が

2つありました。

ひとつは、季節ごとの協賛?という名のノルマです。

クリスマスケーキ20個…

必要のない高価なオーダースーツ…

ソーメン30個…

年末の数の子10ケースなど

無茶苦茶なことが平気でまかり通っていました。

ほかの業者さんも例外なく半強制的にやられていたと思います。

最近、コンビニの「おにぎり」問題や

「恵方巻」や「ケーキ」など聞きますけど

昔から大いにありましたよ。

「インターネット」のおかげで昔ほど無茶苦茶はないと思いますが…

ふたつ目は、年末の大売り出しで

「悪いけど1000丁ほど協力して」といわれ

さすがに、それは無理だと伝えたところ

「じゃあ、1円で持ってきて」と…

「無理なら、ほかに変えてもいいよ」

嘘みたいな話ですが、本当のお話です。

私は、朝早くから死ぬ思いをして1000丁つくりました。

情けなくて、恥ずかしかったですね。

悔しいよりも、辛かったです。

たぶん、スーパーマーケットの力が強かった時代は

卸し業者さんは、相当な苦労をしたと思います。

この前「コンニャク屋」さんと話がはずみました。

因みに、私の兄貴が飲食店を経営して会社を支えてくれたおかげで

スーパーマーケットの取引から手を引くことができました。

そのスーパーマーケットは県内に20店舗ほどあったとおもいますが

2年前に吸収合併されました…

ホント、「あの野郎」って感じです。

ちょっと、裏話しをしましたが

どうです…楽しかったでしょう?

私の会社は大分県の田舎町ですが

今でも恐ろしい値段で売られています。

地元の豆腐はスーパーマーケットにはありません。

ちょっと、寂しいですね。

仕方ないでしょうけど…時代の流れです。

今日は、悲しい気持ちになりました。

[ロザーナ by 尾崎豊]を聴きながら…

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