油揚げの呉焚き
油揚げ用の「呉」を釜に移して、「生呉」を煮ていきます。
加熱
生呉を加熱します。加熱は、大豆タンパクを凝固しやすく、成分を最大に溶出させるために行います。昔は、呉を釜に入れ直火で加熱(地釜)していましたが、現在はボイラーによる蒸気加熱が主流です。加熱温度は、100℃前後です。
※煮呉・・・生呉を加熱したものを煮呉といいます。出典元:一般財団法人 全国豆腐連合会
釜の「呉」を蒸気で煮ていくのですが、二代目曰く
ここが「腕の見せ所」だそうです。
確かに、どこの豆腐屋さんも独自の焚きがあります。
それは、機械によっても違いますし
材料によっても違います。
新しい豆は焚き時間がながいでしょうし、
古い豆はその逆です。
さらに、生地の伸びも変わってきますね。
私どもは新しい大豆は使いません。
さらに、大粒の大豆も使いません。
そのうえでの、「呉」の焚き方ですので…あしからず。
それでは、参考にする人がいるとは思いませんが
説明していきます。
まずは、蒸気をフルにして一気に炊き上げます。
すると、数分後から「呉」を炊く音が変化していきます。
この変化はちょっと経験が必要と思いますね。
私は嫌というほど、この作業を繰り返していますから、
自然とわかるんですが、
二代目と私しか、変化を感じることが出来ないみたいで…
正直、困っています。
この部分が、マニュアル化できれば問題がないのですが
どうしても毎回、焚き時間が変わってきます。
時間割の調整がきかないので仕方ありません。
今は、二代目が現役で頑張っていますが
引退したならば、油揚げ造りも終わりかなって考えています。
話しがそれましたが、一気に沸騰までさせたあと
焚き音の変化するまでは、そのままの状態でキープします。
音の変化を感じた後、蒸気を弱めまして大体5~7分くらい炊きます。
そして、納得のいく「煮呉」になったら一気に「冷水」を流し込みます。
「煮呉」の温度を下げ、豆乳をさらに薄めます。
そして、絞り機にかけます。
一気に「冷水」を流し込む理由は、実はよくわかりません。
おそらくは、豆乳の温度を下げるのと同時に濃度の調整でしょうが
それが、ニガリの凝固と反応速度に影響を与えるためかと…
しかし、扱うニガリも種類豊富で反応速度も違いますしねぇ。
ここは、考えるのをやめます。
考えると、眠れなくなりそうなので…
結構、豆腐屋さんは「理由」が後付けってありますよね。
だから、そこが「勘」なんでしょう。
田舎揚げのオートメーションは聞いたことがないですけど
いつかは「A.I」とやらが、やっちまうのでしょうか?
[Born to run by bruce springsteen]を聴きながら…